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2013年10月の記事一覧


踊ることと、生きること


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芸術を仕事にする、ましてやそれで生計をたてるのは、とても困難なこと。センスや力だけではなく、運にも大きく左右されることでしょう。

“踊り続けること”を夢見る子供たちは、コンクールという大きな局面に向かって、日々練習を重ねます。入賞すれば、バレエ団入団という“踊りながら生活できる”保障が得られ、好きなバレエを続けられるからです。ドキュメンタリー映画「ファースト・ポジション 夢に向かって踊れ!」は、そんな6人の子供たちを淡々と追います。

映画を見ているにも関わらず、途中から子供たちにエールを送っている自分に気が付きます。まるでスポーツ観戦しているかのように、勝負の瞬間、思わずぎゅっと手に力が入ってしまうのです。

6人のその後の活躍が、ニュースで流れることを夢見てしまう、そんな映画。文化フォーラム春日井での上映は、11月17日(日)です


LIFE WITH THE BEATLES


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“おすすめ本”をご紹介します。

『LIFE WITH THE BEATLES』
辰巳出版 2012年12月発行

世界中のファンに支持されながら、わずか十年足らずで事実上の解散を迎えた伝説のロックバンド『ザ・ビートルズ』。本書は、彼らの舞台裏を追い続けた一人の公式カメラマン、ロバート・ウィテカーが、彼らの素顔を実直に捉えた写真集です。トップアーティストのリラックスした表情から、シャッターを切るウィテカーの持ち前の明るさや人懐っこさが垣間見えます。また、全盛期を知らない世代でも、写真に添えられた解説によって、その魅力に迫ることができます。さすが、アメリカのグラフ誌『ライフ』の特別編集。かっこ良さ、全開です。
今までBGM程度にビートルズの歌を聴いていた私ですが、写真集を眺めていたら自然と『ヘルプ!』や『ラブ・ミードゥー』を口ずさんでいました。メンバーの顔と名前はいまだ一致しないけれど、曲はしっかりと記憶に刻まれているのですね。時代を超えて愛される彼ら、やっぱりタダモノではありません。
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そんなビートルズやクイーンの名曲をピアノ四重奏でお届けする、「1966カルテット ビートルズ&クイーンコンサート」を11月10日(日)に東部市民センターで開催します。思い出の曲や、普段、あなたが何気なく口ずさんでいる曲が、演奏されるかも!? クラシックのなかに響くロックを、体験してください。


FORUM PRESSレポーター
「東京バレエ団 子どもためのバレエ ねむれる森の美女]


FORUM PRESSレポーターによるイベントレポート第七弾。
2013/8/15(木)に開催された、「東京バレエ団 子どもためのバレエ ねむれる森の美女」をレポーターが紹介してくれました。

Report 33   子どもたちへの愛情たっぷり!工夫いっぱいプロのバレエ   紀瑠美

「こんにちは」。物語の進行役・カタラビュットが挨拶すると、会場の子供達も元気な声で「こんにちは」。会場に、一体感が生まれるオープニングです。本来、バレエは音楽と動きで表現するため、セリフはありません。身振り手振りで物語を伝えるマイムを使います。例えば、右手の甲で左頬からぐるりと一周するように顔をなぞると“美しい”。“結婚”“踊る”など、様々なマイムの実演がありました。
絵本作家の永井郁子さんが描いた美しい宮廷内の絵が現れ、可愛い衣裳のバレリーナが踊り出すと、いよいよ夢の世界へ。主役のオーロラ姫には、名古屋出身の二階堂由依さん。可愛い子役には、地元の女の子十人が挑戦。親近感がわく、嬉しい配役です。
眠りからさめたオーロラ姫とデジレ王子が素晴らしい踊りを披露すると、客席からは盛大な拍手が送られました。最後にダンサー達が客席に来てくれ、会場は大盛り上がり。一緒に見た四歳の娘は、終演後、楽しかったようで、バレリーナの真似をしてずっと踊っていました。

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FORUM PRESSレポーター
「松竹大歌舞伎」


FORUM PRESSレポーターによるイベントレポート第六弾。
2013/7/15(月・祝)に開催された、「松竹大歌舞伎 夜の部」を3名がレポートしてくれました。Report28・29はFORUM PRESS vol.58からどうぞ(PDF:4.8MB)

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亀治郎改め四代目市川猿之助

Report 30   歌舞伎は庶民の夢の玉手箱   林 佳枝

「皆々様には、四代目市川猿之助を末永くご贔屓賜ります様、心よりお願い申し上げ奉ります~」舞台上、一列に並び座す裃姿のお役者衆が深々と頭を下げます。新猿之助を盛り立てる口上が次々と続き、ついに中央に鎮座する当人の初々しいご挨拶。襲名披露の口上は、実に賑々しく心温まるものでした。そして、その役者の成長を見守り、共に応援したい気持ちにさせてくれる良いものです。
先代の工夫で、特に躍動的な澤瀉屋の『義経千本桜・四の切』。聞くところによると、四代目はこの演目をライフワークにする決意との事。今回は品格ある武士と、親への思慕募らせる子狐の二役を鮮やかに演じ分けました。子狐の健気な仕草に引き込まれ、つい目頭が熱くなります。また『毛抜』は荒唐無稽な謎とき物。豪放で色好みの主人公を市川右近が伸び伸び演じて、本当に痛快でした。
歌舞伎の世界って実は、ゴージャス+モダン+スリリング。夢のひと時を堪能しました。

Report 31   伝統芸能のちから   ますだ けいこ

四代目市川猿之助の襲名披露公演当日、春日井市民会館は華やかにさんざめ いていました。ホールに入ると、福山雅治さんから贈られたという祝幕が目を引きました。二代目、三代目、そして四代目猿之助の隈取を組み合わせたというデザインで、とてもモダンでした。
演目は、『義経千本桜』・『襲名披露口上』・『毛抜』の三本。『義経千本桜』は、六月に文楽で鑑賞したばかりだったので、違いが印象的でした。黒子に操られた人形と、義太夫の語りで物語が展開する文楽に対し、人間が語り演じる歌舞伎。演劇性をより強く感じたのは歌舞伎でした。狐詞や狐手の演出、早替りや欄干渡り、欄間抜けといったドラマチックなアクションが日常との解離を際立たせるからだと思います。SF映画を目の前で見ているような感じ。これで生身なのだから驚かされます。見えないところで、どれほどの鍛錬がなされているのかと思うと、気が遠くなりそうです。
改めて日本の古典芸能の奥深さを知った気がします。

Report 32   四代目市川猿之助襲名披露 『義経千本桜』、『口上』、『毛抜』をみて   飯坂かおる

春日井市民会館で四代目市川猿之助襲名披露を拝見しました。涙が溢れたり笑い声を立てたり、様々な感情を覚えた公演でした。初めの『義経千本桜』では、市川猿之助演じる子狐が素晴らしかったです。忠信から狐に変わる見事な早替わりは、たった三秒!!狐の表現にも目を奪われます。下の舞台に飛び下りる際も、ポンと音を立てない狐の見事な演技。親を思う気持ちが、猿之助演じる哀れな狐の情として見せつけられ、感涙にむせびました。
『口上』は黒紋付の歌舞伎役者が、舞台に勢揃い。順に挨拶をしていきます。各役者の挨拶から、歌舞伎を身近に感じるのと同時に、強く引締まった世界を感じました。
『毛抜』は歌舞伎十八番の一つです。大笑いしたのは、髭を抜いてた市川右近演ずる弾正が「毛抜に足がはえたあ!」と叫ぶ場面。 葛西聖司(元NHKアナウンサー)氏の『極付!歌舞伎セミナー』で解説を受け、勉強してから拝見したので、楽しさ倍増でした!