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2016年12月の記事一覧


【FORUM PRESSレポーター】「演劇集団キャラメルボックス『嵐になるまで待って』」


FORUM PRESSレポーターがイベントを紹介する「わたしレポート」。
2016年10月8日(土)に開催された「演劇集団キャラメルボックス『嵐になるまで待って』」のレポートです。

FORUM PRESSvol.77にもレポートを掲載しています。Report185はコチラからご覧ください。(PDF:5.93MB)

 

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@春日井市民会館(撮影:かすがい市民文化財団)

Report186 「舞台は情熱の嵐」 川島 寿美枝 

清涼な秋風が吹く春日井に、熱い熱い演劇がやって来ました。人気の劇団、キャラメルボックスの『嵐になるまで待って』の公演です。
その人気ぶりは、ほぼ満席に埋まった客席から察せられます。演劇部の学生たちも、先生に引率されて楽しそうに観に来ていました。しばらく演劇観賞から遠のいていたので、若い役者さんのエンターテインメントについていけるか心配でした。ところが舞台が始まるや、ステージ上で繰り広げられるファンタジックな世界に引き込まれてしまいました。バックに流れる音楽や効果音が、ドラマを盛り上げていきます。舞台装置が面白く、そこが収録スタジオになったり、ホテルのロビーになったり、テンポよくお話が進んでいきます。時にはステージ上で二つ、三つの違う場面が同時進行します。手話の会話のシーンが出てくるのも大きな特徴で、観客が手話に対する興味をもつ効果もあったことと思います。あっという間の二時間でした。

Report187 「観る者も緊張する?嵐のようなストーリー」 のぐちりえ 

始まりは静かに。徐々に不協和音が響き出して緊張感が高まり、落雷の爆音とともに高揚したクライマックスへ!まさに“嵐”な舞台でした。鑑賞後の素直な感想は「面白かったけど疲れた…」。どうやら私、かなり緊張しながら観ていたようです。
ユーリは特徴のある“声”を持った新人声優。仕事先で、耳が聞こえず、手話を“声”としている雪絵と、そんな姉を過保護に守る作曲家・波多野に出会う。波多野は第二の“声”を使い、自分の思い通りに人の心を操作していた。そう、生死までも…!
“声”を軸に話が展開していきます。そしてもう一つの軸は“人が人を想う気持ち”。本来なら温かな感情ですが、強く想い過ぎることで、ズレが生じ、哀しい結果を招いてしまう…。緊張感たっぷりのサイコサスペンスで、且つ、考えさせられる人生ドラマでした。
舞台のセットがずっと同じまま、照明や役者の立ち位置の変化で、場面が変わったことを表現していたのも、面白いと思いました。

Report188 「嵐のアトで……」 マエジマ キョウコ 

スピーディー・スリル・サスペンス! しょっぱなから、クライマックスの嵐のシーンまで、舞台から目が離せませんでした! さすが、エンターテイナー集団の名を冠している『キャラメルボックス』さんですね! 息もつけない面白さにひきこまれてしまいました!
私は、絵本の読み聞かせや芝居の活動を通じて、言葉の力を常々感じています。このお芝居は、話し言葉のみならず、手話という言葉を扱い、さらに手話の美しさを引き出したダンスを魅せてくれました。すばらしい演出と演技に脱帽です。
自分の思い通りに他人を動かせたら……! そんな誰もが思う願いを実現させる力を持ってしまったら……? そんなコトをあらためて考えさせられるお芝居でした。
でも「楽しかったぁ」。お芝居の真髄は「楽しさ」にあると思います。『キャラメルボックス』さんのお芝居は楽しくてスゴイ! ステキ!! スバラシイ!心から楽しめたお芝居は久しぶりでした。

Report189 「息もつかせぬファンタジックな世界」 與後 玲子 

誰の耳にも聞こえる普通の声と、人を操る“二つ目の声”を持つ作曲家・波多野。そして、声を奪われた声優志望のヒロイン・ユーリ。波多野の姉・雪絵は、耳が聞こえず手話で会話する役柄。
当初、手話について、まったく知識のない私が、ストーリーを理解できるのか不安でした。しかし、幕が上がるとすぐに、役者の表現力、舞台効果により、まったく違和感なくすぐに舞台と一体になることができました。
人は、追い詰める、また追い詰められると、想像をはるかに超えた強い想いを、言葉として表現します。その言葉は、人を生かしも殺しもします。言葉の中に宿ると伝えられている”言霊”は人を操ります。
手話を交えて構成された、人の想いと言葉をめぐる物語は、演劇ファンのみならず、私のような初心者にも本当に楽しめ、尚且つ、人を想うということを考えさせるものでした。さらに、音響効果も物語を面白く、スピード感溢れるものとしていました。

Report190 「人と人のバリアを開放したとき」 阪井 真佐子 

『キャラメルボックス』がやってくるというので、心待ちしながらその日を迎えました。演劇は好きなので、機会があれば観に行く私です。キャラメルボックスの芝居は内容がわかりやすく、エンターテインメント要素も強いので、いつのまにかお芝居の中に引き込まれていきました。今回の『嵐になるまで待って』は、サイコ・サスペンス。ドキドキハラハラさせられる場面も多々あり、主役のユーリになったかのように緊張したものです。舞台セットは一つだというのに、出演者の演技によってうまく人の想像力を働かせ、様々な場面を表現していました。この演劇の特徴は、“手話”を取り入れていることにあります。登場人物に雪絵という耳が聞こえない女性がいることもありますが、演出家・成井豊氏の意向でもあるようです。「手話は自分の気持ちを全身で表現できる、きわめて演劇的な言葉」だとのこと。そういう意味でも斬新な演劇でした。


【FORUM PRESSレポーター】「サンマルシェ『40周年記念』柳家喬太郎独演会」


FORUM PRESSレポーターがイベントを紹介する「わたしレポート」。
2016年10月2日(日)に開催された「サンマルシェ『40周年記念』柳家喬太郎独演会」のレポートです。

 

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柳家喬太郎(撮影:かすがい市民文化財団)

Report182 「喬太郎ワールドにどっぷり」 テキスト=かつみ I 

「きょんきょんと呼んでいただきたい」と、春日井を初めて訪れたという柳家喬太郎さん。紫の着物に銀色の御髪がよく映えます。
一席目は、古典落語『小言幸兵衛』。家主の幸兵衛さんが長屋を回って、店子希望の客にあれやこれやと難癖を付けます。彼の想像力や逞しく、数年先まで話を作って聞かせるのです。まるで私も長屋の住人になって「ふんふん、そうねぇ」と、聞き耳を立てているような気分に。
次の『抜け雀』は、宿屋の衝立に絵師が描いた5羽の雀がチュンチュンと飛び出す話です。こちらも、私はその絵を見たくて行列に並んでいる一人になったように引き込まれていきました。
喬太郎さんは小さな笑いをいくつか盛り込み、会場全体のボルテージを徐々に上げていきます。そして最後の落ちによって、ドンと大きな笑いで一気に弾けるような舞台を作り上げました。それが、たった座布団一枚の広さの中で行われるのだから「きょんきょん、お見事!」としか言いようがありませんでした。

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三遊亭橘也(撮影:かすがい市民文化財団)

Report183 「話術は十人十色」 テキスト=宮川 あけみ 

高蔵寺ニュータウン内の商業施設、『サンマルシェ』の40周年記念に開かれた、柳家喬太郎独演会。人気も実力もピカイチな落語家という評判通り、会場にはチケット完売のお知らせや、ロビーを埋める観客の姿がありました。
前座を務めた三遊亭橘也さんは、来春真打ちに昇進する若手。演目の『擬宝珠』は喬太郎師匠に教わったとのこと。汗をかきながらの熱い話しぶりでした。
そして、真打登場。袖から現れたのは、恰幅のいいゑびす顔の喬太郎師匠です。演目は二つ。一人何役もこなす会話が中心の『小言幸兵衛』と『抜け雀』。どちらも登場人物が多く、長屋の大家になったり職人や浪人者、さらには女将になったりと大忙しでした。不思議と、「いるいるこんな人!」と思ってしまったほどです。
今回、話し方や仕草一つで、人となりがスッと変わる様子を目のあたりにし、その自然さに落語ワールドの深さとおもしろみを知りました。十人十色、巧みな話術にはそれぞれの色がありますね。

Report184 「笑門来福」 テキスト=ますだ けいこ 

キョンキョンこと柳家喬太郎さんの独演会は、小学生からシニア層まで、大入りの春日井市東部市民センターで熱〜く開かれました。
前座は、真打ち昇進が決まったという三遊亭橘也さん。師匠の前では初めてという『擬宝珠』を公開稽古と称しながら、一気に語ります。大きな笑いに包まれた会場の評価は言うまでもなく、師匠の耳にも響いたに違いありません。
座布団を返して、喬太郎師匠の出番です。枕まで面白いとの評判通り、最初から絶好調です。春日井ネタもありで、熱さと円熟味を共に感じさせてくれるのは、さすがです。『小言幸兵衛』の突拍子もない、小言というより、妄想(?)にも、肯いてしまいそうなほどでした。
仲入り後は、「抜け雀」。宿屋の主人と他の登場人物との掛け合いのリズムが絶妙で、笑いのツボに入ってしまいました。オチで、一瞬考えてしまって、他の方の笑いに遅れをとって不覚を喫したものの、思い切り笑って、翌日への活力をもらうことができました。


【FORUM PRESSレポーター】昼コン・夜コン200記念Special


FORUM PRESSレポーターがイベントを紹介する「わたしレポート」。
2016年9月16日(金)に開催された「昼コン・夜コン200記念Special 『珠玉のアトリウム音楽』」のレポートです。

FORUM PRESSvol.77にもレポートを掲載しています。Report180コチラからご覧ください。(PDF:5.93MB)

 

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@文化フォーラム春日井・交流アトリウム(撮影:かすがい市民文化財団)

Report181 「名演奏家はシャイで大胆?!」 テキスト=マエジマ キョウコ

「アマノジャクなので、有名な曲はあえて弾かないんです」という内匠慧さんが選んだのは、超絶技巧の難曲ばかり。それを軽々と弾きこなす姿はさっそうとして、若さにあふれています。まさに「音の洪水!」 圧倒されてしまいました。
23歳で、世界中でリサイタルをひらくなんて、タダモノではありません。けれど、地元・春日井でご両親や友達が来ていたせいもあってか、ちょっと照れながらのトーク。“ギャップ萌え”で、ドキドキしてしまいます。
コンサートの後、お話をうかがう機会に恵まれました。ていねいに答えてくれる内匠さんは、大胆でスピーディーな演奏とは違って、シャイな印象。
「こういう公共の場での演奏は、イギリスの教会に雰囲気が似ていて楽しかった」とのこと。
「『月の光』はリクエストですが、それ以外は、コンサートではできない、普段と違う曲にしました」と、裏話も聴けて嬉しい気持ちになりました。
さらなるご活躍をお祈りしています!

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公演後インタビューの様子