コラム

日常にバレエを まずは「白鳥の湖から」
律先生、「白鳥の湖」のこと教えてください!

2020/07/21
テキスト=奥村加奈子
「白鳥の湖」は、魔法で白鳥にされてしまった姫と、王子の恋を描いた作品です。9月に春日井市民会館で上演予定でしたが、バレエ団の来日が困難となったため、公演中止となりました。

しかし、「白鳥の湖」は、いろいろな形で楽しめます!
実は奥深い「白鳥の湖」の世界、ちょっとのぞいてみませんか?

まずは、幸田バレエ教室の律先生による「バレエdeストレッチ」から!

バレエdeストレッチ「白鳥になる準備」編(基礎編)
(P)2000 TOEI MUSIC PUBLISHING CO., LTD.

 

バレエdeストレッチ ちょっとだけ、白鳥になる!編(応用編)
※無理は禁物です。じゅうぶんなストレッチを行った上で、トライしてみましょう。

(P)2000 TOEI MUSIC PUBLISHING CO., LTD.

知って楽しむ「白鳥の湖」
律先生が「白鳥の湖」を語ります!

―バレエ教室の先生にとって、「白鳥の湖」とは?
生徒には、一度は観せておきたいし、観やすい演目ですよね。3大バレエといえば、「眠れる森の美女」、「くるみ割り人形」そして「白鳥の湖」でしょ。

―ボリショイ劇場の依頼で、チャイコフスキーが初めて手掛けたバレエ音楽が「白鳥の湖」。1877年の初演では人気がいまいちで、お蔵入りになった過去がありますね。
お蔵入りした後、プティパと弟子のイワノフの振り付けで、「白鳥の湖」は世界的な人気作になったんだよ。プティパは、つまらない部分を全部カットしちゃったんだよね。

―プティパ、大胆ですね!
プティパって、偉大でね。3大バレエの振付、全部やってますからね。私が昔、スウェーデンに行ったとき、川が凍っていたんだけど、そこにいた白鳥の動きがまさに、「白鳥の湖」に出てくる白鳥でした。寒くて首を縮めていたかと思えば、羽を大きく伸ばしてさ。「白鳥の湖」は極寒のロシアで作られたわけでしょ。プティパは、白鳥の動きをよく観察していたんでしょうね。

―なるほど。ロシアという環境が名作「白鳥の湖」を生み出したんですね。
プティパはフランスで生まれて、ダンサーをしていたのだけれど、ロシアに行ってから振付家としての才能が花開いたんだよね。バレエもイタリアで生まれて、フランスで育ち、ロシアで成熟したって言われているけど、こういう部分、追っていくと興味深いですね。

白鳥ひとり_500

 

王子!鳥違いに、ご注意を!

―「白鳥の湖」では、白鳥・オデットと、黒鳥・オディールという正反対の役を、同じバレリーナが踊ることで有名です。
芸術的美しさと可憐さを持ち合わせた白鳥・オデットと、強靭な身体とスタイルで色物ともとれる黒鳥・オディール。善と悪であったり、気質であったり比べやすいし、同一人物がやるのが正しいことなんでしょう。違う人が白鳥と黒鳥を演じるバージョンもありますけど、同じ人が演じないと王子だって簡単に騙されないですね(笑)

―映画「ブラックスワン」でも、「白鳥の湖」でオデットとオディールを演じるバレリーナの葛藤が描かれていましたね。
踊っているうちに、追い込まれてしまうことってあると思います。表現という行為の凄さのひとつですよね。

すべての振り付けに、意味がある

―ハッピーエンドか、悲劇か?作品の結末が違うのも、「白鳥の湖」の魅力ですよね。
バレエの解釈もいろいろで、上演される時代に左右されるのも面白いよね。「白鳥の湖」も、昔の帝政ロシアの時代と、レーニンからスターリンの時代で、結末が違ってくる。みんな亡くなってしまうのもあるし、昇天してから結ばれるパターンもあるし。

―色々な人がバレエ作品の解釈を変えて、振り付けを考え、それが今に伝わっているんですね。
そうなんだよね。昔は、著作権という考え方なんてなくて、自由だった。金払えなんて人、いなかったからね。チャイコフスキーも、亡くなった後に変更されても文句言えないしね。そういう時代背景が見えてくると面白い。さらに言うと、バレエの振付って、音楽と共に始まって、音楽で終わる。絶対に起承転結。だから、絶対に音楽を無視しちゃいけない。

―振り付けは奥が深いんですね。
クラシックバレエって、所作ひとつにしてもキャラクターがあってこそだしね、全部。ロシアは特にスタイルが厳格。だから、振り付けに、絶対意味があるんです。

挿入3

バレエを見ながら、旅をしよう

―バレエの演目の中には、ディヴェルティスマンといって、ストーリーとは関係なく、各国の踊りを披露するシーンが登場します。どういった意味があるのでしょう?
ディヴェルティスマンがどうしてあるかって、ロシアは寒し、当時行くところがないから、「劇場でも行っていいもん観るべ」って。今みたいに娯楽がない時代だから。「白鳥の湖」にも、スペインやナポリなど、各国の踊りがでてきます。今のように交通機関が発達していない時代でしょ。ディズニーランドもないし(笑)。自国にいながら、さまざまな国の踊りを見ることは、贅沢で楽しいことだったのでしょうね。

プロフィール
幸田律|コウダ リツ(インタビュー、動画出演・ストレッチ&振付指導)
幸田バレエ教室主宰 日本バレエ協会正会員 (公社)日本バレエ協会中部支部副支部長 松本道子バレエ団にて藤田彰彦、松本道子に師事。 平成2年 松本道子バレエ団よりアメリカ政府招待による芸術研究のためニューヨークのスクール・オブ・アメリカン・バレエに短期留学。 平成15年 第16回新進芸術家海外研究助成を受けてドイツのコーブルク他で研修。 平成9-15年新国立劇場登録ダンサー。 現在、愛知県立芸術大学非常勤講師。


幸田空|コウダ ソラ(動画出演)
愛知県春日井市出身、3歳より幸田バレエ教室でバレエを始める。 幸田トキ、寺本ゆかり、幸田律らに師事。2016年、愛知県高校生海外チャレンジ促進事業の認定を受けカナダGoh Ballet Academy夏季集中プログラム参加。Maina Gielgudらに師事。 2018年、Yorkshire ballet summer school参加。BALLET NEXT「シンデレラ」、「ロミオとジュリエット」、日本バレエ協会中部支部「ドン・キホーテ」、名古屋市芸術創造センターバレエアカデミー、松本道子バレエ団トリプル・ビル公演「セレナーデ」他、エウロリリカ等の公演に出演。2018年8月、日本バレエ協会中部支部40回中部バレエフェスティバルでは、自身の振付作品「Jupiter」を発表。2019年1月、BALLET NEXT「ドン・キホーテ」では、森の女王を踊る。2020年1月NAMUE名古屋第2位。



プロフィール
キエフ・クラシック・バレエ
1982年設立のキエフ市立アカデミー・オペラ・バレエ青少年劇場バレエを母体とするバレエ・カンパニー。青少年劇場というのは、世界的にみても数えるほどしかなく、ウクライナではこの劇場が一番最初に設立され、現在に至るまで国内唯一の存在となっている

    公演情報

<公演中止となりました>
キエフ・クラシック・バレエ2020
白鳥の湖<全2幕>

日時:

2020/9/21(月・祝)15:00~

会場:

春日井市民会館