【作品紹介コラム】
見るときっとパリに行きたくなる。憧れのパリ。
主人公であるジェシカに、彼女のおばあちゃんはいつもこう語っていました。「セレブに憧れて仕事を探したの。やっと見つけたのがホテル・リッツの掃除係。朝食にはバラが添えられ、枕にはダイヤモンド。一流ホテルにしか興味がなかったの。セレブになりたかったけど、私にはなす術がなかったから」。その言葉を胸にパリへ出てきたジェシカ。一流の芸術に触れることが人間形成につながる、といわれますが、暗にそれを孫に教えていたように思います。「シャネル」「フェンディ」「クリスチャン・ディオール」etc...高級ブランド店が並ぶパリ・モンテーニュ通り。その通りにあるシャンゼリゼ劇場と向かいのカフェが、この映画の舞台です。華やかな世界にいる人々が、ホッと一息つくカフェ。そこでは様々な人間模様が垣間見え、また本音が語られます。ジェシカは男性しか働けないこのカフェに、頼み込んでギャルソンになるところから物語は始まります。クラシック音楽、演劇、そして絵画も楽しめるこの映画。また、フランス映画ではありますが、我々日本人だからこそ笑えるエピソードも。日本人記者が苦悩するピアニストにインタビューするシーンで、好きな動物を聞かれたこのピアニストはなんと応えたでしょう？言葉のニュアンスに爆笑必至！是非、スクリーンでご確認ください。（FORUM PRESS vol.38）