インタビュー

【FPアーカイブ(2017年2-3月)P4.P5】
ピアノ生演奏 × サイレント映画
柳下美恵インタビュー「サイレント映画ピアニストって、どんなお仕事?」

2020/12/23
テキスト・写真=鈴木史子(2016/11/1@名古屋市自由ヶ丘にて取材:FORUM PRESS78号)
2021年1月に開催する柳下美恵さんの「ピアノdeシネマ」。実は、春日井では今回で2回目の上演です。そこで、2017年に開催された「ピアノdeシネマ」の際、柳下さんが情報誌FORUM PRESSのために答えてくださったインタビューを改めてお届けします。

柳下さんの最新インタビューは1月上旬に公開予定!お楽しみに☆

もともとはこれが “映画” でした。

━「サイレント映画ピアニスト」という仕事を初めて知りました。
映画は誕生してから約120年ほどの歴史がありますが、トーキー(音声付き映画)が生まれるまでの約40年間は、映画には音が付いていませんでした。そのため、映画館には伴奏専門のピアニストがいて、毎日映画に合わせて生演奏していたんです。
今だと、「映画に合わせてピアノ伴奏をつける」というと特別な感じがすると思いますが、もともとは、この、映像と生伴奏とが合わさったスタイルが「映画」だったんです。大作映画の場合は作曲家が作曲して、オーケストラで演奏することもあったようですが、録音技術がないのですべて生演奏。今から考えると、贅沢ですよね。

━柳下さんは日本初の欧米スタイルのサイレント映画ピアニストだということですが、始められたきっかけは?
夢のような話じゃなくて、とても生活感あふれるきっかけなんです(笑)。東京国立近代美術館フィルムセンターで無声映画の上映を観た時に、音がついていなくて、自分のお腹の音が鳴るんじゃないかと心配で集中できませんでした(笑)。それで、伴奏をつけて観やすくしようって思ったんです。ちょうど勤めていた多目的ホールが立ち行かなくなり、何かやりたいなと思っていた時期でした。これなら、昔から続けてきたピアノを生かして、好きな映画に関われる!と思ったんです。当時映像に合わせて語る弁士さんはいたけれど、欧米スタイルのピアノ伴奏をやっている人は一人もいなかった。だから職業になるかどうかなんて分かりませんでした。海外から来日していたピアニストを真似たり、見よう見まねで始めたんです。それから、運よく映画誕生100年のイベントでデビューすることができて、今までやってこられました。

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映画そのものが “楽譜” なんです。

━昔のピアニストはどうやって音をつけていたんですか?
サイレント映画に決められた楽譜はほとんどなく、選曲は、映画館や働くピアニストたちに任されていました。ですから、ピアニスト向けに「こういうシーンではこういう曲を弾いたらどう?」と提案する参考書も出版されていました。国歌やクラシック音楽などが載っていて、例えば「ラブシーン」の項目には、「ブラームスのワルツ」など数曲が紹介されています。私も最初はこれを切り貼りして演奏していましたが、同じ作曲家の曲ではないので、どうしてもチグハグになってしまいます。そこで少しずつ自分で作曲するようになって、今では即興です。昔のピアニストたちもそうだったんじゃないかな。サイレント映画ピアニストにとっては映画が一番の楽譜なんです。

━どうやって音を考えるのですか?
登場人物の感情や、表情に沿って音を付けます。また、何かが落ちた音とか、効果音も表現します。会場では、お客さんの反応も大切な要素のひとつ。コメディ作品でお客さんの笑い声がしたら、あえて演奏はしません。そうやって会場の空気を感じながら作っていくのが、生伴奏付き上映ならではの楽しさです。

━生演奏だからこその高揚感ってありますよね。
舞台でも音楽が録音か生演奏かで、盛り上がり方は変わると思います。映画は作品自体に変化はないけれど、生伴奏が付くことで違う魅力が生まれます。ピアノ伴奏つきの上映を、映画の楽しみ方のひとつとして現代に残すことができたらなと思っています。

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FORUM PRESS 78号(2017年2-3月)はコチラ

プロフィール
サイレント映画ピアニスト
柳下 美恵  Yanashita Mie
愛知県生まれ。武蔵野音楽大学有鍵楽器専修(ピアノ)卒業。1995年、山形国際ドキュメンタリー映画祭で開催された映画生誕百年祭「光の生誕 リュミエール!」(朝日新聞社主催)でデビュー。以来、愛知県美術館、名古屋市美術館、中津川映画祭、東京国際映画祭、京都国際映画祭などの日本国内、イギリスのバービカン・センター、イタリアのボローニャ復元映画祭などの海外で伴奏多数。音楽で見せる欧米式の伴奏者は日本初。喜劇映画研究会との仕事も多く、様々な喜劇映画を伴奏、紹介している。

    公演情報

ピアノdeシネマ

日時:

2021/7/17(土)14:00~
※2021/1/30(土)の振替公演です。

会場:

文化フォーラム春日井・ギャラリー

入場料:

一般¥1,000、小中高生¥500(学生の特券対象公演)
(税込、全自由席、未就学児入場不可)

発売日:

2021年6月19日(土)~
※2021年1月30日(土)のチケットをお持ちの方は、そのままご入場いただけます。
イベント情報はコチラ


出演:

柳下美恵 Yanashita Mie

主催・問合せ:

公益財団法人かすがい市民文化財団
TEL:0568-85-6868

協力:

喜劇映画研究会

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