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あの人と、春日井と

春日井児童合唱団 2021.10

特別な道具や楽器がなくても、 声を出せば “合唱”になる

みんなで歌うと、 声も心もギュッて一体になるね

FORUM PRESSの表紙の撮影のため、春日井児童合唱団の子どもたちに、練習場近くの公園に任意で集まってもらった。小学5年生以上のシニアクラスから29人。児童合唱団の先生や保護者、公園を利用している方にもご協力いただいた。「30分だけ」「ディスタンスをとって」を合言葉に撮影開始。最初はレンズ越しにぎくしゃくしていた子どもたちも、歌を歌い始めたらノッてきた。「外で歌うのって、気持ちいいね」「口ってこんなに大きく開くんだね」「隣の人と距離はあったけど、久しぶりにマスクをとって歌ったら、みんなの声がいつもよりたくさん聞こえてきた。めちゃ楽しいね」「友達の歌う笑顔が久しぶりに見れて、嬉しかった!!」 撮影後、子どもたちはこんな風に話してくれた。
春日井児童合唱団は1990年に創設された。今年で32年。現在まで831人が在籍し、今はシニア37人、ジュニア(小学1~4年)17人が毎週練習している。「子どもたちも忙しくなってきて、人数は減りつつあるのが現状です。でも一度入団すると、みんな辞めないし、出席率もいいんです」と話すのは、設立3年目から関わってきた奥村先生。その訳はお母さんたちが教えてくれた。「違う学年のお姉さんから話しかけられるのが嬉しいみたい。自分の学校以外の友達も増えるし、世界が広がるんでしょうね」「ここに集まる子は、みんな歌が好き。それを馬鹿にする子は一人もいない。楽しい気持ちを安心して共有できるから、素の自分が出せるんですって。ずっと続けたいって、子どもが言うんですよ」

〝憧れ〟 は人を育てる

自身も合唱団の卒業生で、今は事務の裏方として走り回る石黒さんはこう話す。「子どもたちは、自分だけがうまく歌えば良いのではないことに気付き、一つのものを作り上げることの難しさを実感していきます。周りの声と自分の声の調和を意識することで、協調性や相手を思いやる気持ちが自然と芽生えるんです。彼・彼女らの純粋な気持ちは歌声に出ます。本番では『うまく歌うぞ』ではなく、ひたすら『合わせるぞ』と子どもたちは思っているんですよ」
しかし、コロナ禍で本番は激減した。「入団以来、一度も本番を経験していない子もいます。だから、今度のクリスマスコンサートはなんとしてもやりたいんです」と、先生方は口々に言う。
あるお母さんは、こう話してくれた。「一人の子どもがステージに立って歌う。それだけでも凄いことなのに、歌の合間に台詞があったり、ミュージカルの役をこなしたり、それぞれの特性を先生が考えてくれて、様々な役が決まります。子どもは必死で覚えますし、自分にできないことがやれる上級生に憧れも持ちます。そのプロセスは、自分の自信につながるんです」

合唱の喜びをもう一度

「歌うと気持ちがいい。仲間と歌を重ねるともっと楽しい」そう話す子どもたちも、9月末までは緊急事態宣言で練習ができなかった。10月に入り、やっと再スタート。そんな折に、合唱団の先生たちに今回の取材を申し入れた。最初に言われたのは「コロナ禍で合唱のイメージは悪くなった。なのに、今、児童合唱団を取材するのは何故?」という一言だった。でも〝今だからこそ〟 だと思って依頼したのだ。
マスクをして歌うなんて考えもしなかった、約2年前のクリスマスコンサート。あの時のことを思い出しては、改めて尊い瞬間だったと感じ続けてきた。そしてコロナ禍の今、様々な対策を行いながら練習してきた子どもたちの、背中を見守り、応援したい。そして何より、子どもたちの〝好き〟 な歌が聴きたい。
取材の帰路「あなたも今度、一緒に歌いましょうね」と歌唱指導の稲田先生が声をかけてくれた。ここは誰にでも門戸が開かれている。

春日井児童合唱団 コンサートのお知らせ

2021年12月25日(土) 16:00〜
とっておきのクリスマスコンサート2021 @文化フォーラム春日井・交流アトリウム
入場無料 ※新型コロナウイルス感染拡大防止に伴い、入場を制限する場合があります。