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特集

瀧川鯉八・玉川太福二人会特集|思いっきり、笑おう! 2021.1

落語と浪曲の魅力をたっぷりとお届け!

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昨年5月に真打に昇進した落語界の新星・瀧川鯉八と、昨年9月に浅草芸能大賞・新人賞の受賞が決定した浪曲師・玉川太福。今、最もチケットが取れないと話題の人気者が春日井で笑いあふれる二人会を開催します!

江戸時代を中心に、明治以前から語り継がれてきた古典落語。一方、大正以降に作られた作品は新作落語と呼ばれます。落語家自身が作ることが多いので、それぞれの個性が光るのも特徴です。瀧川鯉八さんは、新作落語の天才と注目を浴び、真打に。その独特な世界観に、ハマる人が続出中です!
明治から昭和にかけ、浪曲は〝娯楽の王様〞と呼ばれていました。しかしテレビの台頭や娯楽の多様化が進むと、浪曲の人気は下火に…。そんな浪曲界に現れたキーマンが、コント芸人という異色の経歴を持つ玉川太福さん。彼の人気が高まると共に、浪曲の魅力が再注目され、今、新たな人気を呼んでいます!

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師匠から「一生、ヘンテコな感じで新作落語を作り続けて欲しい」と言われたという鯉八さん。オリジナルの新作落語で唯一無二の道を行く鯉八さんの魅力に迫ります!
真打になっても、ヘンテコな落語を


―鯉八さんと言えば、ご自身で作った新作落語だけを披露されていますね。

皆がやっているものを、やりたくなくなったっていうか…。自分だけの武器が欲しかったんです。新作落語は主演、脚本、演出、監督、全部が自分。笑いがおきたら、全て僕の手柄です。

―カッコイイですね!

永遠の命があるとすれば、古典落語の伝統的な技術を身につけて、それを存分に披露する落語家になりたい。でも、誰しも命に終わりが来ると気づいた時、自分で作った落語で世の中に出たいと思いました。僕の世界観を、古典落語の修業で培った技術を惜しみなく使って表現していきたいです。

―落語をイチから作るのは大変なのでは?

最初は好きな小説の作風を真似して作っていましたが、全然ウケなくて(笑)。自分に無いものを追い求めてもダメだと気が付きました。それからは、ひたすら自分と向き合う作業です。

―地道な作業ですね。

自分が面白いと思う笑いを追求していくうちに、今の作風に落ち着きました。人前では言えないような気持ちや、隠しておきたい気持ちを表現するのが好きなんです。大人になると、人に話さないようなことってあるでしょ?

―例えば?

友だちに「あっ、髪切った?」と聞かれる時、ちょっと恥ずかしくないですか? 僕は、切りたてを指摘されるのが恥ずかしいんです。なので、「いつ切った?」って聞かれても、「1週間前だよ」と返すときがあって。

―分かります(笑)

背中がむずがゆい…みたいな。そういうモヤモヤした気持ちを、明るくポップに包んで、落語にしたいと常に思っています。

落語は、一生の趣味になる!


―落語の初心者も、楽しめますか?

落語は伝統芸能というイメージがあるかもしれませんが、もともとは大衆芸能。テレビや映画、小説を読むのと同じ感覚で、気楽に来ていただければ大丈夫です。若い人には、落語は一生の趣味になるって事を伝えたいですね。

―〝一生の趣味〞っていいですね。

一度落語を好きになると、その先には芳醇な世界が広がっているんです。僕自身、20歳で落語に出合い、年を重ねるほど、落語を聞く深みにはまっています。

―江戸時代から語り継がれている話もありますしね。

何百年の風雪にも耐えて残っているだけあって、落語は引き出しの数が多いんです。古典落語には、人間の嫌な部分を描きながらも「くよくよしなくて、いいんだよ!」という前向きなメッセージが入っています。逆に、新作落語は、今を生きている我々と同じ感覚で作られているので、初めての人も取っ付きやすいかもしれないですね。

―ぜひ、生で聴いて欲しいですね。

はい、ぜひ生で! 今は便利な時代なので、家にネット環境があれば、いろんなエンターテインメントを楽しめます。そんな中、落語会に足を運んで、お金を使う事は、不便な事だと思うんです。でも、不便だからこそ、実際に会場に足を運んで、皆と一緒に観ることが逆に贅沢だと思いませんか。お客様がウケて笑ってくれると、落語家もノッて良いパフォーマンスをする。すると更にお客様がウケるっていう会場ならではの相乗効果を体験していただくと、もう落語に病みつきですよ。

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「今、玉川太福が面白い!」と、話題の浪曲師・玉川太福さん。太福さんは、なぜ若手の入門者が絶えて久しい浪曲界に飛び込んだのか?理由を尋ねると、太福さんが爆笑浪曲師と呼ばれる所以が見えてきます。
放送作家、コント、演劇…
寄り道をしてたどり着いたのは、浪曲の世界


―浪曲師になったきっかけは?

もともと、子どもの頃からお笑い番組が大好きでした。コント番組の裏方になりたいと漠然と思い描いていたんです。それで、大学を出て、放送作家の事務所に入りました。

―夢を叶えたわけですね!

でもコントを書くというより、テレビの面白い企画を考えることが求められるばかり…僕のやりたい事ではなかった。そこで、高校の同級生を誘って2人でコントをやるようになって。

―裏方から、表舞台に転向を?

はい。そんな時、演劇を観る機会があって、演劇の中の笑いに衝撃を受けました。特に影響を受けたのは、「静かな演劇」と呼ばれる現代口語演劇。舞台上の役者は、他愛もないことを、静かにペラペラ喋っている。でも、その延長線上には物語があって、作家性もある。こんな面白い世界があるのか! と、 目から鱗でした。そのまま、現代口語演劇の方向に傾倒していきます。でも、26歳くらいになると、自分の目指す方向は演劇なのか、お笑いなのか、作家なのか…見失っていきます。

―え…!?それで、太福さんはどうなっちゃうんでしょう?

そんな時、知人に誘われて落語や浪曲を聴きに行くようになり、演芸の魅力に目覚めます。

―太福さんが、浪曲を初めて聴いた時のことを教えてください。

すべてが衝撃でした。うちの師匠・玉川福太郎の声の迫力、豪快で明朗な節回しを浴びると、浪曲という話芸の凄さは、すぐに分かりました。ただ、初回は笑ったり、楽しんだりっていうところまではいけなくて…。

―第一印象はイマイチだった?

はい、浪曲自体のカルチャーショックがデカすぎて(笑)。2回目からもう虜でした。

―具体的に、浪曲の何が面白かったのでしょう?

第一に声の迫力です。音は振動なので、体とか頭の芯に響いてくる。凄い人の声っていうのは、全身に浴びた時に高揚感と、官能的な心地よささえ感じます。他にも、顔の表情の豊かさや、愛嬌あるセリフ回し、色んな要素に惹かれました。

作家志望の浪曲師!?


―実際に浪曲をやってみたくなったのですか?

私は新作浪曲を作ってみたいという思いで、浪曲師の道へ入りました。浪曲という話芸に、自分がやってきた些細な日常を描いたコントをぶつけたらどうなるのか興味があったんです。客席に居ながら、どこか作家目線だったのかもしれません。

―太福さんの新作浪曲と言えば、新作浪曲集としてCD化もされている、『地べたの二人』シリーズが有名ですね。

何も起こらないし、何にも展開しない。登場する2人の感情も衝突しない。ただ毎回、微妙にすれ違うというお話です。なんでもない日常の細部を、ひたすら大袈裟に唸っているんです(笑)

―太福さんが「面白い」と思う「笑い」はどんなもの?

若い頃って、自意識過剰で、本人は真面目に生きているけれど、客観的に見ると面白くて、ちょっと愛らしかったりする。そういう笑いが好きです。例えば、女性にモテないとか、人間関係で失敗したとか。自分の体験を元に、物語を広げていくことが多いですね。そういった経験は豊富にありますから(笑)

―浪曲の楽しみ方を教えてください。

頭で考えるより、音を浴びて、まず体感していただくことです!まっさらな気持ちで、耳を傾けていただけたらと思います。

ようこそ、浪曲の世界へ!

落語が登場人物の〝セリフ〞で進行するのに対して、浪曲は、メロディーのある〝節〞と、〝セリフ〞と〝語り〞で進行します。さらに、曲師と呼ばれる三味線奏者の伴奏も加わります。浪曲の三味線に楽譜はなく、ジャズのセッションのように浪曲師と曲師が、お互いの呼吸を探りながら物語が進行していきます。太福さんは浪曲のことを「三味線伴奏付の一人ミュージカル」と言っています。

落語家 瀧川鯉八たきがわ こいはち

生年月日 1981年3月27日
出身地 鹿児島県鹿屋市
■芸歴
2006年 瀧川鯉昇に入門 前座名「鯉八」
2010年 二ツ目昇進
2020年 真打昇進


浪曲師 玉川 太福たまがわ だいふく

生年月日:1979年8月2日
出身地:新潟県新潟市
■芸歴
2007年 二代目玉川福太郎に入門
2013年 浅草木馬亭にて名披露目


第90回かすがい芸術劇場 瀧川鯉八・玉川太福 二人会 予定枚数終了

2021年4月18日(日)@文化フォーラム春日井・視聴覚ホール
公演詳細はコチラ