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【FORUM PRESSレポーター】「サンマルシェ『40周年記念』柳家喬太郎独演会」


FORUM PRESSレポーターがイベントを紹介する「わたしレポート」。
2016年10月2日(日)に開催された「サンマルシェ『40周年記念』柳家喬太郎独演会」のレポートです。

 

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柳家喬太郎(撮影:かすがい市民文化財団)

Report182 「喬太郎ワールドにどっぷり」 テキスト=かつみ I 

「きょんきょんと呼んでいただきたい」と、春日井を初めて訪れたという柳家喬太郎さん。紫の着物に銀色の御髪がよく映えます。
一席目は、古典落語『小言幸兵衛』。家主の幸兵衛さんが長屋を回って、店子希望の客にあれやこれやと難癖を付けます。彼の想像力や逞しく、数年先まで話を作って聞かせるのです。まるで私も長屋の住人になって「ふんふん、そうねぇ」と、聞き耳を立てているような気分に。
次の『抜け雀』は、宿屋の衝立に絵師が描いた5羽の雀がチュンチュンと飛び出す話です。こちらも、私はその絵を見たくて行列に並んでいる一人になったように引き込まれていきました。
喬太郎さんは小さな笑いをいくつか盛り込み、会場全体のボルテージを徐々に上げていきます。そして最後の落ちによって、ドンと大きな笑いで一気に弾けるような舞台を作り上げました。それが、たった座布団一枚の広さの中で行われるのだから「きょんきょん、お見事!」としか言いようがありませんでした。

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三遊亭橘也(撮影:かすがい市民文化財団)

Report183 「話術は十人十色」 テキスト=宮川 あけみ 

高蔵寺ニュータウン内の商業施設、『サンマルシェ』の40周年記念に開かれた、柳家喬太郎独演会。人気も実力もピカイチな落語家という評判通り、会場にはチケット完売のお知らせや、ロビーを埋める観客の姿がありました。
前座を務めた三遊亭橘也さんは、来春真打ちに昇進する若手。演目の『擬宝珠』は喬太郎師匠に教わったとのこと。汗をかきながらの熱い話しぶりでした。
そして、真打登場。袖から現れたのは、恰幅のいいゑびす顔の喬太郎師匠です。演目は二つ。一人何役もこなす会話が中心の『小言幸兵衛』と『抜け雀』。どちらも登場人物が多く、長屋の大家になったり職人や浪人者、さらには女将になったりと大忙しでした。不思議と、「いるいるこんな人!」と思ってしまったほどです。
今回、話し方や仕草一つで、人となりがスッと変わる様子を目のあたりにし、その自然さに落語ワールドの深さとおもしろみを知りました。十人十色、巧みな話術にはそれぞれの色がありますね。

Report184 「笑門来福」 テキスト=ますだ けいこ 

キョンキョンこと柳家喬太郎さんの独演会は、小学生からシニア層まで、大入りの春日井市東部市民センターで熱〜く開かれました。
前座は、真打ち昇進が決まったという三遊亭橘也さん。師匠の前では初めてという『擬宝珠』を公開稽古と称しながら、一気に語ります。大きな笑いに包まれた会場の評価は言うまでもなく、師匠の耳にも響いたに違いありません。
座布団を返して、喬太郎師匠の出番です。枕まで面白いとの評判通り、最初から絶好調です。春日井ネタもありで、熱さと円熟味を共に感じさせてくれるのは、さすがです。『小言幸兵衛』の突拍子もない、小言というより、妄想(?)にも、肯いてしまいそうなほどでした。
仲入り後は、「抜け雀」。宿屋の主人と他の登場人物との掛け合いのリズムが絶妙で、笑いのツボに入ってしまいました。オチで、一瞬考えてしまって、他の方の笑いに遅れをとって不覚を喫したものの、思い切り笑って、翌日への活力をもらうことができました。