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【FORUM PRESSレポーター】「演劇集団キャラメルボックス『嵐になるまで待って』」


FORUM PRESSレポーターがイベントを紹介する「わたしレポート」。
2016年10月8日(土)に開催された「演劇集団キャラメルボックス『嵐になるまで待って』」のレポートです。

FORUM PRESSvol.77にもレポートを掲載しています。Report185はコチラからご覧ください。(PDF:5.93MB)

 

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@春日井市民会館(撮影:かすがい市民文化財団)

Report186 「舞台は情熱の嵐」 川島 寿美枝 

清涼な秋風が吹く春日井に、熱い熱い演劇がやって来ました。人気の劇団、キャラメルボックスの『嵐になるまで待って』の公演です。
その人気ぶりは、ほぼ満席に埋まった客席から察せられます。演劇部の学生たちも、先生に引率されて楽しそうに観に来ていました。しばらく演劇観賞から遠のいていたので、若い役者さんのエンターテインメントについていけるか心配でした。ところが舞台が始まるや、ステージ上で繰り広げられるファンタジックな世界に引き込まれてしまいました。バックに流れる音楽や効果音が、ドラマを盛り上げていきます。舞台装置が面白く、そこが収録スタジオになったり、ホテルのロビーになったり、テンポよくお話が進んでいきます。時にはステージ上で二つ、三つの違う場面が同時進行します。手話の会話のシーンが出てくるのも大きな特徴で、観客が手話に対する興味をもつ効果もあったことと思います。あっという間の二時間でした。

Report187 「観る者も緊張する?嵐のようなストーリー」 のぐちりえ 

始まりは静かに。徐々に不協和音が響き出して緊張感が高まり、落雷の爆音とともに高揚したクライマックスへ!まさに“嵐”な舞台でした。鑑賞後の素直な感想は「面白かったけど疲れた…」。どうやら私、かなり緊張しながら観ていたようです。
ユーリは特徴のある“声”を持った新人声優。仕事先で、耳が聞こえず、手話を“声”としている雪絵と、そんな姉を過保護に守る作曲家・波多野に出会う。波多野は第二の“声”を使い、自分の思い通りに人の心を操作していた。そう、生死までも…!
“声”を軸に話が展開していきます。そしてもう一つの軸は“人が人を想う気持ち”。本来なら温かな感情ですが、強く想い過ぎることで、ズレが生じ、哀しい結果を招いてしまう…。緊張感たっぷりのサイコサスペンスで、且つ、考えさせられる人生ドラマでした。
舞台のセットがずっと同じまま、照明や役者の立ち位置の変化で、場面が変わったことを表現していたのも、面白いと思いました。

Report188 「嵐のアトで……」 マエジマ キョウコ 

スピーディー・スリル・サスペンス! しょっぱなから、クライマックスの嵐のシーンまで、舞台から目が離せませんでした! さすが、エンターテイナー集団の名を冠している『キャラメルボックス』さんですね! 息もつけない面白さにひきこまれてしまいました!
私は、絵本の読み聞かせや芝居の活動を通じて、言葉の力を常々感じています。このお芝居は、話し言葉のみならず、手話という言葉を扱い、さらに手話の美しさを引き出したダンスを魅せてくれました。すばらしい演出と演技に脱帽です。
自分の思い通りに他人を動かせたら……! そんな誰もが思う願いを実現させる力を持ってしまったら……? そんなコトをあらためて考えさせられるお芝居でした。
でも「楽しかったぁ」。お芝居の真髄は「楽しさ」にあると思います。『キャラメルボックス』さんのお芝居は楽しくてスゴイ! ステキ!! スバラシイ!心から楽しめたお芝居は久しぶりでした。

Report189 「息もつかせぬファンタジックな世界」 與後 玲子 

誰の耳にも聞こえる普通の声と、人を操る“二つ目の声”を持つ作曲家・波多野。そして、声を奪われた声優志望のヒロイン・ユーリ。波多野の姉・雪絵は、耳が聞こえず手話で会話する役柄。
当初、手話について、まったく知識のない私が、ストーリーを理解できるのか不安でした。しかし、幕が上がるとすぐに、役者の表現力、舞台効果により、まったく違和感なくすぐに舞台と一体になることができました。
人は、追い詰める、また追い詰められると、想像をはるかに超えた強い想いを、言葉として表現します。その言葉は、人を生かしも殺しもします。言葉の中に宿ると伝えられている”言霊”は人を操ります。
手話を交えて構成された、人の想いと言葉をめぐる物語は、演劇ファンのみならず、私のような初心者にも本当に楽しめ、尚且つ、人を想うということを考えさせるものでした。さらに、音響効果も物語を面白く、スピード感溢れるものとしていました。

Report190 「人と人のバリアを開放したとき」 阪井 真佐子 

『キャラメルボックス』がやってくるというので、心待ちしながらその日を迎えました。演劇は好きなので、機会があれば観に行く私です。キャラメルボックスの芝居は内容がわかりやすく、エンターテインメント要素も強いので、いつのまにかお芝居の中に引き込まれていきました。今回の『嵐になるまで待って』は、サイコ・サスペンス。ドキドキハラハラさせられる場面も多々あり、主役のユーリになったかのように緊張したものです。舞台セットは一つだというのに、出演者の演技によってうまく人の想像力を働かせ、様々な場面を表現していました。この演劇の特徴は、“手話”を取り入れていることにあります。登場人物に雪絵という耳が聞こえない女性がいることもありますが、演出家・成井豊氏の意向でもあるようです。「手話は自分の気持ちを全身で表現できる、きわめて演劇的な言葉」だとのこと。そういう意味でも斬新な演劇でした。