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FORUM PRESSレポーター
「安野光雅展 絵と文学の出会い」


FORUM PRESSレポーターによるイベントレポート第三弾。
2013/2/16(土)~3/17(日)に開催された、画家・絵本作家 安野光雅さんの展覧会を3名がレポートしてくれました。Report⑪はFORUM PRESS vol.55からどうぞ(PDF:3.9MB)

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Report⑫   安野光雅作品に魅せられて  前島恭子 

安野光雅さんは、私にとってもともと大好きな絵本作家の一人です。ただそれは、柔らかな色彩で、トリッキーな仕掛けがいっぱいの絵を描く方という認識でした。 この展覧会で、『繪本 平家物語』のような強い印象の作品や、細かな心遣いが伝わるポスターや表紙デザインを観て、安野さんの作品の魅力は彼が絵の中に忍ばせる遊び心だけではないことを知りました。また、井上ひさしさんとの交流の深さも感じ入ることができました。 「絵を描くことは物語を発見することである」と言う安野さん。展覧会を通して、ますます安野さんの作品が好きになりました!

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Report⑬   「物語の世界」への旅  ますだ けいこ 

今回の安野光雅展は「絵と文学の出会い」がテーマ。展覧会会場の構成・作品の解説パネル・ワークシートなどの工夫が、安野ワールドへの旅を豊かなものにしてくれました。 さりげなく登場する童話の主人公や、名画の一場面を追いかけながら見る「旅の絵本」。作家自身による解説文が味わい深い「物語の街から村へ」と「繪本 平家物語」。井上ひさしさんの本の表紙やこまつ座ポスター。以前の絵と対比して展示された「ガリバーの冒険」は、違いが興味深く、細部に井上ひさしさんへの思いのこもるオマージュ作品になっていました。そして、故郷津和野と少年時代を描いた温かい作品。安野さんの原点に触れることができました。 どの作品も、見れば見るほど新しい発見があり、時間を忘れるほどでした。

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Report⑭  見れど飽かぬ心地良さ  伊藤弘子 

安野さんの絵はどれも立ち止って近づいて、じっくり覗き込みたくなる。会場には子ども達の姿が目立った。子どもが楽しめ、親子で会話が弾む展覧会というのも珍しい。個人的には屋根瓦の一枚一枚、壁のレンガの一個一個が丹念に描き込まれたイタリアの風景画(謎も隠されている)が好きです。「平家物語」のしんとした空気からは、戦わなければならない者の悲哀が、そこはかとなく伝わってきました。やっぱり原画には本になったものと一味違う、繊細な淡やかさがあります。悪戯っ子のような、好奇心一杯の安野さんの笑顔。おそらくご本人が一番楽しんでいるのでしょう。万華鏡で遊んだような、美味い松花堂弁当を頂いたような、満足感に浸りました。

[2013/04/18|投稿者:S.H]